平成から令和へ。
元号ってどこに定義されているかご存知ですか?
現在は、「元号法」という法律に元号が定められています。
元号法は次のような法律です。
1 元号法
昭和54年法律第43号元号法1 元号は、政令で定める。2 元号は、皇位の継承があつた場合に限り改める。附 則1 この法律は、公布の日から施行する。2 昭和の元号は、本則第一項の規定に基づき定められたものとする。
とってもシンプルです。
第1項は、元号を「政令」で決めますよと定めています。
ですので、平成や令和という文字は「政令」に出てきます。
ちなみに「政令」とは内閣が作ることができる命令です。言い方が乱暴かもしれませんが、役所(内閣)の独断で決めることができます。
一方、「法律」は役所だけでは作ることができません。国民の代表が集まる国会の議決が必要です。
もし、元号法の第1項が「元号は、政令で定める。」ではなく「元号は、平成とする。」だったら、元号を改めるために、国会の審議が必要になります。手続きに時間もかかって大変です。
2 元号を改める政令(昭和→平成)
次に「政令」を見ていきましょう。
昭和64年政令第1号元号を改める政令内閣は、元号法(昭和54年法律第43号)第1項の規定に基づき、この政令を制定する。元号を平成に改める。附 則この政令は、公布の日の翌日から施行する。
この政令は昭和64年1月7日に公布されたので、1月8日から平成が始まったことになります。
3 元号を改める政令(平成→令和)
平成から令和へ。この政令がいよいよ効力を発揮する時がやってきました。
平成31年政令第143号元号を改める政令内閣は、元号法(昭和54年法律第43号)第1項の規定に基づき、この政令を制定する。元号を令和に改める。附 則この政令は、天皇の退位等に関する皇室典範特例法(平成29年法律第63号)の施行の日(平成31年4月30日)の翌日から施行する。
↓元号が令和に決まったのは平成31年4月1日、その時の官報です。↓
法律や政令は官報に掲載されます
この政令がいつから効力を持つかは「附則」に書いてあり、「平成31年4月30日の翌日」、つまり5月1日から元号が令和に変わることになります。
なんで、「平成31年4月30日の翌日」なのか気になりませんか?
4月1日時点ではこの政令が効力をまだ持っていない(施行されていない)ので、「令和元年5月1日から施行する」とは書けないからなんです。
4月からではなく5月から免許証の有効期限が令和で記載されるようになるのもこれと同じですね。
この政令が公布される前は、施行期日をどう書くのかすごく気になっていたものでした。
色々考えて「新元号元年5月1日から施行する」とは書けないはずだから、新元号を使わず記述できる「公布の日から1月を経過する日から施行する」か「平成31年4月30日の翌日から施行する」あたりかなと思っていたのですが、蓋を開けてみたら後者でした。